ファーストクラスの恋 ~砂漠の王子さまは突然現れる~

「お待たせしました」

数分後に現れたのは若い男性。
見た感じ重役感は感じないから、この人が面接会場に案内してくれるってことだと思う。

「水野凪さんですね?」
「はい」
「じゃあ、行きましょうか」

一応名前を確認され、ホールの奥にある通路を進んでいく。
すれ違う社員たちの年齢も今まで勤めていた会社よりも若い気がするし、みんなオシャレで表情も明るい。
私は辺りを見回しながら、近代的で綺麗な会社だなと思っていた。


「どうぞ」
「は、はい」

考え事をしながら歩いていたら、男性がエレベーターを開けて待っていてくれた。
駆け込むようにエレベーターに乗り、男性の後方に立つ。

2階・・3階・・・5階・・・10階・・・15階
一体どこまで上がっていくんだろう。
20階を超えたあたりで、少し不安になってきた。

ピコン。
チャイムと共にエレベーターが止まったのは、38階。
そしてエレベーターのドアが開いた瞬間、私は息をのんだ。