※彼の姉ではありません


 私と幌延さんとで契約内容を確認する。話が話なので、認識のズレが起こらないように細かいところまで決めておく。


「期間は1年間でお願いします」

「1年間でいいんですか?」

「ええ、祖母には“海外の方と結婚して、相手の国で暮らす”ということにしますから」


 もし「お祖母さんが亡くなるまで、姉として生活してほしい」なんて言われたら……と肩に入っていた力が抜けた。

 個人的にありがたくはある。先の見通しが立たないと、再就職先を探すのもままならない。1年間の猶予があれば、どこかに採用してもらえるんじゃないか。

 少なくとも、バイトや契約社員として採用される可能性は高い。契約が終わっても、どうにか食いつなげるだろう。


「その、1年間分の衣食住ですが……」

「こちらで全てご用意します、心配には及びません」


 幌延さんは穏やかな笑みをもって断言してくれた。ひとまずホッとする。


「住居ですが、私や祖母と一緒に暮らしていただくことになります」

「えっ」


 所有してるマンション辺りに住まわせてもらって、そこからお祖母さんのとこに通うのかと思った。

 幌延さんは苦い表情で、申し訳なさそうに口を開いた。