「ところで栞奈。ここで少し休んでもいいか?」
「え!? こ、ここで、ですか?」
裏庭とはいえ、こんなオープンスペース、いつ誰が来たっておかしくない。
「イヤか?」
睦先輩が、ちょっとだけ拗ねた声で言う。
「せ、制服が汚れてしまいますよ?」
「池に入ろうとしていたヤツの言葉じゃないな」
「……わかりました。少しだけですよ?」
ドキドキしながら睦先輩が横になれるよう座り直そうとしたとき。
地面についた右手の小指に、コツンとなにか固いものが当たった。
「あ……あった」
拾い上げてみると、睦先輩のメガネだった。
こんなに近くに落ちていたなんて。
「すみませんでした」
睦先輩にメガネを差し出すと、
「もういらない物だよ」
と言いながらメガネをポケットにしまい、改めてわたしの膝枕で横になる。
「……きれいな青空だな」
睦先輩の声に、わたしも空を見上げた。
「そうですね」
グラウンドの方からは、昼練中の運動部の元気な掛け声が聞こえてくる。
だけど、この裏庭の時間だけは止まっているかのように、とても静かにゆっくりと過ぎていった。
(了)
「え!? こ、ここで、ですか?」
裏庭とはいえ、こんなオープンスペース、いつ誰が来たっておかしくない。
「イヤか?」
睦先輩が、ちょっとだけ拗ねた声で言う。
「せ、制服が汚れてしまいますよ?」
「池に入ろうとしていたヤツの言葉じゃないな」
「……わかりました。少しだけですよ?」
ドキドキしながら睦先輩が横になれるよう座り直そうとしたとき。
地面についた右手の小指に、コツンとなにか固いものが当たった。
「あ……あった」
拾い上げてみると、睦先輩のメガネだった。
こんなに近くに落ちていたなんて。
「すみませんでした」
睦先輩にメガネを差し出すと、
「もういらない物だよ」
と言いながらメガネをポケットにしまい、改めてわたしの膝枕で横になる。
「……きれいな青空だな」
睦先輩の声に、わたしも空を見上げた。
「そうですね」
グラウンドの方からは、昼練中の運動部の元気な掛け声が聞こえてくる。
だけど、この裏庭の時間だけは止まっているかのように、とても静かにゆっくりと過ぎていった。
(了)



