「だったらもう……こんなもの、捨てちゃえばいい!」

 生徒会室を入って右側の小窓を開けると、わたしはおもいっきり遠くまでメガネを投げ捨てた。

「こんなものをしてるからいけないんです。ありのままの葉月先輩でいてください。葉月先輩は、そのままの優しい先輩でいいんです。絶対の絶対、素の先輩の方が、100倍みんなついていくはずです!」


 わたしのことをじっと見つめていた葉月先輩が無言で立ち上がると、そのまま生徒会室の出口に向かって大股で歩いていく。

 ガチャンと音がして、扉が閉まり、わたしは一人生徒会室に取り残された。


 ……わたし、なにやってるんだろ……!

 葉月先輩のメガネを窓から投げ捨てるなんて、どう考えたってやりすぎだよ~!!

 わたしは、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。


 ……いやいや。こんなことをしている場合じゃない。

 葉月先輩のメガネを探しに行かなくちゃ。


 慌てて生徒会室を出ると、わたしは裏庭へと急いだ。