「うっわ、かわいそー。この子、なにやらかしたんだろ」
「俺なら退学って言われた方がまだマシだわー」
翌朝学校に到着すると、掲示板の前に人だかりができていた。
ここ、きさらぎ学園高等部の現生徒会長は、学園長の息子で、校長以上の権力を持って学園の統治を任されているんだって。
だから、生徒がなにか問題を起こすと、生徒会長の名で厳しい処罰が下されるらしい。
一週間前にこの学園に入学したばかりのわたしは、どうせただのウワサ話だろうって思っていたけど、どうやら本当のことだったみたい。
そんな生徒会長は「冷酷非情な悪魔のような人」と恐れられていて、生徒会長が歩いてくるだけで、モーセの海割りのごとく、さーっと人混みが左右に開いて道ができるのだとか。
ま、悪いことさえしなければ普通の学園には違いないし、そうやって悪い人を処罰してくれるのなら、一般生徒にはありがたい話だよね。
いくらありがたい存在だとしても、さすがにそんな悪名高い生徒会に近づきたいとは思わないけど。
掲示板のチェックは、帰りにはきっと空いているだろうから、そのときにすればいっか。
そう思って通りすぎようとしたとき。
人だかりをかき分け出てきた女子生徒が、わたしの顔を見た途端、表情をこわばらせ、とんでもないことを口にしたのだった。
「栞奈、あんたいったいなにやらかしたの!?」