【以下の者を、退学処分とする】

  1年A組 水元 栞奈



 涼音に無理やり連れてこられた掲示板の前で、呆然とするわたし。

 ……わたしのなにが気に食わなかったんだろう。

 勝手に汗を拭こうとしたから?

 それとも、なにも言わずに逃げ出してしまったせい?

 ちょっと葉月先輩のことを見直しかけていたところだったのに、やっぱり冷酷非情な人だったってことなの?


 橘くんのときには、ちゃんと理由があった。

 けどわたしの場合……退学になったら、この先どうしたらいいんだろう。


「こんなのヒドすぎる。あんまりだよ。勝手に副会長に任命しておいて、挙句の果てにはこんな仕打ち……いったい栞奈になんの恨みがあるっていうの!?」

「涼音、落ち着いて。ね?」


 今にも生徒会室に怒鳴り込みそうな勢いの涼音の腕を掴んで、なんとかなだめようと試みる。

 だって、そんなことをして涼音まで退学処分にでもなってしまったら、申し訳なさすぎるよ。


「そうだ。ねえ、みんなで署名運動しようよ! 『退学反対』って。ううん、それじゃ足りない。二度とこんなことが起こらないようにするには、葉月先輩を生徒会長から引きずり降ろさなくちゃ」

「ちょっと待って、涼音!」