【以下の者を、退学処分とする】
1年A組 橘 爽
「いったいどういうことですか!?」
それから数日後、掲示板に貼り出された、たった一枚の紙きれの報告だけで、橘くんはこの学園から姿を消した。
「まだ治らないって決まったわけじゃないって言ってました。なのに、なんでこんなヒドイこと……」
涙がこぼれそうになるのを、わたしは下唇を噛みしめて、なんとか堪えた。
治らなかったら退学になるかもって心配してたけど、まだ結論を出すにはいくらなんでも早すぎるよ。
「これは、学校としての決定だ。水元の口出しするところではない」
手元の書類に目を落としたまま、葉月先輩が淡々と言う。
そうかもしれないけど……。
そうだよね。葉月先輩が、ウワサ通りの冷酷非情な人だったってだけのことだ。
こうやって退学をチラつかせて、学園を支配するだけの人。