生徒会所属膝枕係!?

 二階と三階の間の踊り場で、橘くんが顔をうつむかせて立ち止まった。

 松葉杖を握る手が、小刻みに震えている。


「どうしたの? だいじょう……」

 橘くんの前に回り込んだ途端、橘くんの目からボタボタッと涙がこぼれ落ちた。

「治らないかも……しれないってさ。折れた場所が、悪かったって……」

 橘くんが、声を絞り出すようにして言った。

「俺、サッカー部の特待生でこの学校入れてもらったからさ。もし、サッカーができなくなったら……きっともういられなくなる」

「そんなこと……! 大丈夫だよ。それだけが理由で退学だなんて、絶対ありえないよ」


 ケガのせいで大好きなサッカーができなくなっちゃうかもしれない上に、退学を迫られるだなんて。

 そんなこと、絶対にあっちゃいけないよ。


「それに、まだ治らないって、決まったわけじゃないんでしょ?」

 わたしの問いかけに、橘くんが小さくうなずく。

「……そう、だよな。うん。まずは治すことを最優先に考えるべきだよな。さっき会長が言ってたみたいに」

「そうだよ!」

 わたしがぎゅっと両方の拳を握りしめて力強く言うと、橘くんが、はぁーと大きなため息をつきながら天井を仰ぎ見た。