「カバン、わたしが持つよ」
「マジで? 助かるわ。ありがとな」
橘くんの背負っていたリュックを受け取ると、橘くんはそろりそろりと階段をのぼりはじめた。
三年生の教室のある二階まであと少しというところで、階段を下りてこようとする葉月先輩とばったり出くわした。
「おはようございます、葉月先輩」
昨日、あんなふうに帰ってしまったから、なんとなく気まずくて、まともに顔も見られない。
「おはよう、水元。……大丈夫か? 介助が必要であれば……」
「だっ、大丈夫っす! 水元に荷物も持ってもらってるんで、このくらい、どうってことないですから。それに、ケガもそっこーで治すんで! 失礼しますっ」
少し慌てて橘くんが階段をのぼろうとして、足が段をのぼりきれず引っかかり、前に倒れ込みそうになる。
「あぶなっ……!」
葉月先輩が、橘くんの肩をがしっとつかみ、間一髪転倒は免れた。
ふぁ~。よ、よかったぁ……。
「すみません……ありがとうございます」
「気をつけてゆっくりのぼらないと、また別のところにもケガを負うことになる。ケガが増えれば、完治までの時間だって長くなる」
「……そう、ですね。気をつけます」
葉月先輩に小さく頭を下げると、橘くんは、再びゆっくりと階段をのぼりはじめた。
「マジで? 助かるわ。ありがとな」
橘くんの背負っていたリュックを受け取ると、橘くんはそろりそろりと階段をのぼりはじめた。
三年生の教室のある二階まであと少しというところで、階段を下りてこようとする葉月先輩とばったり出くわした。
「おはようございます、葉月先輩」
昨日、あんなふうに帰ってしまったから、なんとなく気まずくて、まともに顔も見られない。
「おはよう、水元。……大丈夫か? 介助が必要であれば……」
「だっ、大丈夫っす! 水元に荷物も持ってもらってるんで、このくらい、どうってことないですから。それに、ケガもそっこーで治すんで! 失礼しますっ」
少し慌てて橘くんが階段をのぼろうとして、足が段をのぼりきれず引っかかり、前に倒れ込みそうになる。
「あぶなっ……!」
葉月先輩が、橘くんの肩をがしっとつかみ、間一髪転倒は免れた。
ふぁ~。よ、よかったぁ……。
「すみません……ありがとうございます」
「気をつけてゆっくりのぼらないと、また別のところにもケガを負うことになる。ケガが増えれば、完治までの時間だって長くなる」
「……そう、ですね。気をつけます」
葉月先輩に小さく頭を下げると、橘くんは、再びゆっくりと階段をのぼりはじめた。



