どうせわたしには彼を保健室まで運ぶような力はないし、目を覚ましたときに、少しでも回復していることを願って、保健室へ行くのに手を貸すというのが現実的だ。

 元々困っている人がいたら放っておけないお節介な性格で、迷子のおじいさんの道案内をしてあげて学校に遅刻してしまったり、転んで泣いていた男の子に絆創膏をあげたら、その直後に自分も転んで、膝から血を流したまま家まで帰ったりしたことはあったけども。

 さすがに廊下のど真ん中で、男子に膝枕をする日が来るなんて思ってもみなかった。

 っていうか、今のこの状況って、誰かに見られたら、かなりマズいのでは!?

 お願いします。誰も通りませんように……。

 そう願うしかなかった。