「五藤先輩、これはさすがにマズいと思いますよ?」
そう言いながら、わたしは一枚の領収書を五藤先輩に掲げてみせた。
「え? これって生徒会費で落ちないんだっけ?」
なんて言いつつ首を捻っているけど、どう考えたってマンガ雑誌はダメでしょ!
「なんだ? 見せてみろ」
会長用の机の前に座って書類に目を通していた葉月先輩が、わたしに向かって右手を差し出した。
ソファーから腰を上げようとしたわたしから、慌てて領収書を奪う五藤先輩。
「悪い悪い。オレの私物が間違って紛れ込んでたみたいだ」
そう言いながら、ビリビリに破くと、近くにあったゴミ箱へと放り込む。
……五藤先輩、まさか常習犯なんじゃ。
ジト目でわたしが五藤先輩のことを見ると、
『はじめてだから! マジで! 今月ほんとに小遣いがピンチでさ。もうしないから』
と、わたしにだけ聞こえるような小声で言った。
「文哉。横領は立派な犯罪だ。退学処分じゃ済まないからな」
「もうしないって言ってます」
「二度目はないと言っておいてくれ」
「わかりました。……ですって、五藤先輩」
「はい、肝に銘じておきます」
そんな五藤先輩に、葉月先輩は小さくため息をついた。
そう言いながら、わたしは一枚の領収書を五藤先輩に掲げてみせた。
「え? これって生徒会費で落ちないんだっけ?」
なんて言いつつ首を捻っているけど、どう考えたってマンガ雑誌はダメでしょ!
「なんだ? 見せてみろ」
会長用の机の前に座って書類に目を通していた葉月先輩が、わたしに向かって右手を差し出した。
ソファーから腰を上げようとしたわたしから、慌てて領収書を奪う五藤先輩。
「悪い悪い。オレの私物が間違って紛れ込んでたみたいだ」
そう言いながら、ビリビリに破くと、近くにあったゴミ箱へと放り込む。
……五藤先輩、まさか常習犯なんじゃ。
ジト目でわたしが五藤先輩のことを見ると、
『はじめてだから! マジで! 今月ほんとに小遣いがピンチでさ。もうしないから』
と、わたしにだけ聞こえるような小声で言った。
「文哉。横領は立派な犯罪だ。退学処分じゃ済まないからな」
「もうしないって言ってます」
「二度目はないと言っておいてくれ」
「わかりました。……ですって、五藤先輩」
「はい、肝に銘じておきます」
そんな五藤先輩に、葉月先輩は小さくため息をついた。



