家に着き、私は深呼吸してドアを開けた。「ただいまー。」とぼそぼそ呟き、洗面所へ向かう。リビングのソファに弟のせーくんこと晴夜(せいや)が寝転んでいた。私はせーくんに笑顔を作って顔を向けたが、せーくんは真顔で一瞥しただけだった。いつも通りの反応だ。せーくんはもう既にマンガの世界にいるのか私を見向きもしない。自分への注目がないことに安堵を覚え、洗面所に着いた私は手を洗う。お弁当箱を洗い場に置き、保冷バックを壁に掛ける。
二階の自室に入りリュックを下ろすと、肩が軽くなった。少し凝っていたので肩回しをする。それでも地味に痛くて、顔をしかめる。毎日教科書の入った重いリュックを背負っているからか、中学生になってから肩凝りに悩むようになった。勉強しなきゃ、と思い、ワークと辞書を取り出す。私は英語が苦手なので、単語を学校より先に調べておかないと授業についていけなくなってしまう。次の単元に出てくる単語を辞書で引く。
やろうと思っていたところまではできたので、少し休む。マンガでも読もうかな。本棚の前に行き見渡したが、今読みたいと思うものはなかった。最近読む気が起きるマンガや本が減った。今まではジャンルを問わずなんでも好きだったのに。
