柚菜〜初恋編〜

そんなある日


雄太が、柚菜の弁当を覗き込んできた


雄太「なぁ?なんか、高瀬の弁当って茶色いな」


柚菜「え?あー、確かにね」

柚菜は、必死に笑顔を作る


でも本当は、胸の奥が痛かった。


雄太は、別に悪気があったわけではない


それもわかっていた。


でも、柚菜は、その日から弁当を開けづらくなった。


少し食べては、すぐに蓋をして、ほぼ残していた

なにか聞かれると、ダイエット中だと誤魔化した。



何日か過ぎた頃


またいつもの様に、弁当を残して蓋を閉めようとした時


雄太「もう食べないの?」


柚菜「うん」


雄太「いつも残してたら、親になんか言われないの?」


柚菜「言われないよ。自分で作ってるし‥」


雄太「自分で作ってるなんてすごいじゃん!」


柚菜「そんな事ないよ‥」


雄太「勿体無いよ?いらないならちょうだい」


柚菜「え?‥いいけど‥」


雄太は、柚菜の弁当を食べ始める


雄太「美味いよ?」


柚菜「そうかな‥良かった」


雄太「ごちそうさま」


笑顔で空になった弁当箱を返す雄太


初めて自分が作ったご飯を人に褒められた柚菜は、胸が温かくなる感覚になり、少し戸惑う



柚菜は雄太を意識し始めた