小学生になる頃から、家事を分担して妹とやっていた。


部屋掃除 洗濯 風呂掃除


日曜日、みんなが遊んでいるのが羨ましかった。



やらないとまた殴られる。


母親も祖父の暴力の事は気付いていた。
でも助けてはくれなかった。



母親も、柚菜達に手を上げていたから。


逃げ場はどこにもなかった。


祖母はどうだったか。


祖母は、ほぼ家に居ない。

パチンコ屋が開店すると、すぐに出かけ閉店まで帰ってこない。


ご飯は、いつ炊いたかわからない黄色くなり固くなった米を食べたり、袋のインスタント麺をそのままかじったり、祖母が持ち帰るパチンコの景品のお菓子を食べたりしていた。



子供は親を選べないと言うが、本当にそうだと思う。


唯一、父親のところに泊まりに行く日だけが楽しみだった。




ワインレッドのセダン 


少し離れた父親の家へ向かう道中

ラジオから流れる音楽

口ずさむ父親の声に耳を傾けて、外の海を眺める


心地良かった


家へ着くと、すぐに酒を飲み寝てしまう。


一度、酒の瓶の中身を捨て、水に入れ替えた事がある


すぐに気付かれ怒られて、買いに行かされた。


 
寝ている父親を見て、近くにいるのに凄く遠く感じて、腕をギュッと掴み、よく泣いていた。