柚菜〜初恋編〜

チラッと教室のドアの方を見ると、二人ともまだ雄太の方を見ながら何か話している。


少し複雑な気持ちになりながら、柚菜は次の授業の支度を始める。

チャイムが鳴り、二人は自分達の教室に戻って行った。



柚菜は、果穂の事を考えていた。



柚菜（すごいな‥気持ちを相手にちゃんと伝えられるなんて、私は出来ない‥）



何日か過ぎた放課後、部活に行こうとした時


「高瀬さん」

後ろから、呼び止められ振り返る。

柚菜「はい？」


振り返ると、この前雄太に、手紙を渡した子達が、少し怖い顔をして立っている


柚菜「果穂さんですよね？」


すると、返事をしたのは地味な方の子だった。柚菜はもう一人の子だと思っていたから、少しビックリした。


果穂「あの高瀬さんて、雄太君と付き合ってるんですか？」


真っ直ぐ目を見て聞かれて、柚菜は横に首を振る。


果穂「みんな言ってるんです。雄太君と高瀬さんは、付き合ってるって。正直、休み時間も昼休みも、ずっと話してるし。仲良いなって思ってたんです。」


柚菜「いや‥本当に付き合ってないです。ただ話してるだけだし本当に‥」


果穂「そうなんですか？」


嫌な沈黙が流れる


柚菜「もう部活に行かないと」


逃げる様に、その場を後にする。


その後、なんとなく話しづらくなり、雄太を避けるようになる柚菜。