帰りのホームルームが終わり、私は生徒会室に向かっていた。
 その途中にある階段の踊り場で、誰もいないことを確認する。

「愛してるって……! ホントなんなのもう……!」

 しゃがんで顔を膝に埋める。こんなことをしてる場合じゃなくて、一刻も早く北校舎の3階に行かないといけないのに。

「人の気も知らないで……!」

 ……意外とがっしりした身体してるんだな。腕も筋肉ついてて安定感があったし。汗の匂いもちょっとだけしたけど臭くなかった……
 じゃなくて!!
 私は両頬を自分の手でパンッと勢いよくはさんだ。
 昂志は私と違って人懐こくて、明るくて、大らかな奴だ。だからきっと似たようなことを他の人にもしているに違いない。勘違いするな、私。
 自分に言い聞かせながら、今朝見かけた昂志と真岡くんやりとりを思い出す。