まるごと大好き!

「大丈夫ですか?」
「ありがとう、大丈夫よ」

 そうは言うけど、明らかに左足をかばってる。表情も苦しそうだ。

「救急車呼びましょうか?」
「いいのよ、家族に電話して迎えにきてもらうから」
「それならワンちゃんみてましょうか?」

 犬を気づかい、早足でついてきたかなえが言った。

「かなえ、いいの? 今日は日直だって言ってなかったっけ?」
「あっ!」

 かなえは「そうだった」と犬をもふもふしながら言った。余裕あるな。

「私が見てるから、かなえは先に行って」
「でも……」
「遅刻しそうになったら自分で連絡するから」

 渋ってるかなえを説得して、犬を渡してもらう。
 犬は私に抱かれてもやっぱり大人しい。しつけがしっかりされてるんだろうな、と思わせるようないい子だった。

「じゃあ、先行くね。三津野先生にも言っておくから」

 かなえはそう言うと、大急ぎで学校へと向かった。お下げを大きく揺らしている──と思っていたら、すぐにその背中は角を曲がって見えなくなってしまった。