まるごと大好き!

「今日はありがと」
「うん、ゆっくり休んでね」

 げっそりした顔の昂志は、口の端を無理矢理あげてみせた。笑顔……のつもりなんだろうと思う。
 ……これで、テストで赤点を取らずにすむといいんだけど。

「静波」
「うん」
「キスしていい?」

 私はきょとんとした顔で昂志を見上げた。
 ここは私の部屋じゃなくて、家の玄関だ。
 ドアを開けたまま、私たちはこうしてしゃべってる。

「ダメ?」

 ……まぁいいか。今日はがんばってたし、ご褒美あげても。

「いいよ」

 私が笑ってそう言うと、口にしてきた。付き合ったとたんに遠慮がないな。
 でも触れただけで、すぐに離れてしまう。
 ささやかな温もりが、私の唇に残る。

「それじゃ、また明日」
「うん、また明日」

 お互いに笑いあって、私はドアを閉めた。