まるごと大好き!

 外に出ると、大騒動になっていた。
 廃工場を囲むように、パトカーが数台停められている。そこに、不良たちが警官につかまって詰めこまれていた。

「兄ちゃん!」

 芽衣里ちゃんがボブカットの髪を揺らしながら駆けよってきた。顔は晴れやかで、制服ははだけていない。ホッとした。

「芽衣里……!」

 廻は芽衣里ちゃんを強く抱きしめて、無事を確認していた。

「兄ちゃん、痛い」
「どっかケガしたのか!?」
「違う。兄ちゃんの力強すぎ」

 廻はあわてて手を離していた。俺や静波、君嶋は思わず笑う。