まるごと大好き!

「てめぇらの仕業か!?」

 不良の1人が俺たちを見つけて殴りかかってきた。
 さっと避けて、廻が足払いをくらわせる。
 そいつはつんのめって、横になったドラム缶に顔面を強打した。ガァン、とめちゃくちゃ痛そうな音がして、俺はちょっと同情した。
 その俺の腕をひく手がある。

「静波!?」
「昂志、無事だね」
「いや、おま、なにして」
「話はあと、ほら、外に!」

 聞きたいことがありすぎて、逆になにも言えなくなってしまう。
 静波はそんな俺の手を引いて、工場の外へと連れだした。

「君嶋! 鐘石も! よくわかないけどなんかありがと!」

 俺たちのあとに、廻と君嶋も続いた。