ちょっと長く温泉につかりすぎたかもしれないなーなんて考えながら帯を巻く


「うん、大丈夫そう」


変じゃないか再度確認する


「深雪~はい、次どうぞ」


風邪引くよとドライヤーを手渡してくれた彼女は私の友達の咲耶
彼女が修学旅行に遅刻して、合流したのはついさっき
ちょうど温泉に入る時間くらい


「ごめん咲耶、八尋くんに呼ばれてるの」

「彼に乾かしてもらうの?」

「うん、同室の男子たちがいないからって」



八尋くんの名前を出した途端に咲耶はニヤリと笑った
続けて伝えるとキャーとはしゃぐ


「戻ってきたら詳しく聞かせてね」

「えー、私のことより彩耶の話聞かせて?デートしてたんでしょ一日中!」


ポンと顔を赤く染めた咲耶
片想いを続けている彼女をみているとほほえましい気持ちになる


二人は本当にお似合いなんだから早くくっつかないかな~って見守ってる
昔からずっと一緒の幼なじみで絆がうんと強くて


私より咲耶と仲が良いところはちょっと嫉妬しちゃう
私は同室の子や先生にバレないようによろしくと頼んで女湯の暖簾をくぐって八尋くんの部屋まで急いだ