「先に言っておくと、俺には余命宣告がある。…残り、3年らしい」
そう告げた瞬間、花鶏の目が見開かれて、雰囲気が変わったのがわかる。
「それで…?」
平然を装っているけど、声が少し震えている。
気を使わせてしまったのか、と察する。
「話、変えるわ。…4月、花鶏がこの病院来た時の話」
「っ、え!?」
なんで知っているんだと言わんばかりの顔に笑みがこぼれた。
「その日…花鶏が俺に話しかけてくれた」
「え…?」
「お手洗いはどこですかって聞きに来たよな。俺職員でもないのにさw」
「なっ…!」
花鶏の顔がみるみるうちに赤くなる。
そんなところも可愛いなと思いながら微笑んだ。
「あ、あの時の…っ!」
どうやら思い出したみたい。
「一目惚れだった」
「ええっ…!」
素直に伝えると、さらに顔を真っ赤にする花鶏。
「あの時も可愛かったけど…今は綺麗」
間違いなく、世界一の美女は花鶏だ。
「っ〜…キャ、キャパオーバーですっ…!」
花鶏は顔を隠すように手で覆う。
「返事くれないの?」
「え!?」
「ねぇねぇ」
花鶏の方にずいっと体を寄せる。
「あ…えっと…」
「早く言わないとその口塞いじゃうよ?」
「いっ…!」
ほんの少しだけ、意地悪。
「っ…わ、私で良ければ…お願いしますっ」

それって…!
「っしゃー!」
「っ、わ」
ぎゅっと花鶏を抱きしめる。
「あと3年だけど…ほんとにいいの?」
恐る恐るそう聞く。
1番そこが気にかかっていた。
すると、花鶏はきょとんとした表情になって。
「え?別に、3年なんて関係ないじゃん。3年も一緒に居れるんでしょう?最高だよ…!」
目をキラキラさせて言ってくる花鶏に、思わず涙がこぼれそうになる。
花鶏…。
涙を堪えて、花鶏をキツく抱きしめた。