「は、やと……」
「おい、お前ら。何してる」
ギロリと女の子達を睨みつける隼人。
「あ…はは、やだなぁ〜、あたしたち花鶏のお友達ですよぉ〜!」
「そうですぅ〜、てゆーかぁ、おにーさん、誰ですかぁ?」
さっきとはうってかわり、甘い声で隼人に話しかける女の子達。
「花鶏の彼氏」
スパッと言い切る隼人に、顔が思わず熱くなる。
「えぇぇええ!?」
そのとき、お母さんが入ってきて。
「花鶏〜?お見舞い来て……っ、貴方達!」
お母さんは、女の子達を見ると、顔色を一変させてさっとナースコールに手を伸ばした。
ブーッ。
「あ、やば!」
「行くよ、ミナ!」
「ちっ…このくそばばあ……!」
私達を睨みつけると、女の子達は慌てて出て行く。
「お母さん、あの人達誰?」
「えっ?……覚えて、ないの?」
お母さんが顔を青ざめさせたまま言う。
覚えてるも何も…あの子達とは初対面のはず。
すぐに看護師さんが飛んできて、検査室に案内される。
色々な検査を受けた結果__。
「大変言いにくいことなのですが…お嬢さんは、記憶喪失のようです」
き、記憶喪失!?
「細かく言うと…お嬢さんのトラウマのようなものがあり、それに関わることだけの記憶を失っているようです」
お医者さんは私のレントゲンの写真を指しながらそう言うと、お母さんを見た。
「残念ながら、記憶喪失には根本的な治療がありませんし…幸いにも、お嬢さんにとっては思い出してもショックを受けてしまうような内容なので…このまま思い出さないのも手だと、私は思います」
なんのことかよくわからないけど…記憶喪失ってことなのはわかる。
私が、記憶喪失か…。
なんか、実感わかないや…。
「あの…日常生活には支障はないんですか?」
お母さんが不安そうに聞くと、「それは平気だと思います」とお医者さんは微笑む。
「先程も言いましたが、お嬢さんの失った着おくと言うのはトラウマ的なもののようなので、思い出すことは…まぁ、私個人から言わせて頂くと控えた方が宜しいかと……」
「そうですか…ありがとうございました」
お母さんと一緒に検査室を出ると、お母さんはニコッと笑って言った。
「良かったね花鶏!今日からお家に帰れるよ!」
え?家?
それって…。
「退院する、ってこと?」
「そう!」
嘘、でしょ…。
隼人と…会えなく、なるの…!?