はぁ…。
行くか…。
ため息を吐き出し、部屋を出る。
えっと…中庭に2時だよな。
一応パーカーのポケットにスマホを入れて歩き出す。
それにしても…隼人が惚れるとか、何したんだよあの女…。
名前が読めない…ハナトリ?
まぁいいや、ハナトリで決定。
ブッサイクな女だろ。
もう見ないでもわかる。
はっ、隼人が女に惚れるとかバカバカしい。
どーせ金でも渡して彼氏をして貰ってるに違いない。
隼人はバスケバカだが顔はいい。
頭も悪くないため、クラスの女達からはいつもきゃーきゃー騒がれていた。
そんなことを考えながら中庭への扉を開ける。
ガチャリ。
「あ!きたきたっ」
「夏遅いよ〜!」
マジか…。
全員揃ってやがる…。
「はいはい悪かった」
テキトーに謝り、傍にあったベンチに座る。
「全員揃ったところで紹介しまーす!七瀬花鶏ちゃんでーす!」
あ、あとりって読むのか。
知らね、キラキラネームすぎんだろ…。
花なんて「あ」って読まねえし…。
心の中で文句を言いつつ、そいつを睨め回す。
すると、ハナトリとバチッと目が合う。
好都合だと思い、そのまま睨みつける。
「…っ」
ハナトリが怯えたような表情に変わったとき。
「おいこら夏!威嚇すんな!!」
隼人が割り込んできた。
チッ…。
邪魔が入ったな…。
ふんっと顔を逸らしてそっぽを向く。
そんな俺を見て、悲しそうな顔をした朝日。「な、七瀬花鶏です…よ、よろしくお願いします…っ」
緊張か声がプルプル震えている。
ふっ、ざこ。
「みんな自己紹介して」
隼人の言葉に頷いた2人。
「俺はもう知ってるよね?黒野帷、仁科中2年。よろしく」
「三嶋朝日です。桜ヶ丘中学1年。よろしくね」
2人の自己紹介が終わり、さぁ帰ろうと立ち上がった瞬間。
「夏は」
っ…。
「雨宮夏。冬瓜中2年」
それだけ言って、ベンチに座り直す。
はぁ…と呆れたようなため息が聞こえる。
「えっと…帷さんと朝日さんと夏さん?」
「せいかーい!」
ぎゅっとハナトリに抱きつく朝日。
うげ…。
よくできんな…。
朝日のスキンシップやボディータッチはそこらの友情ごっこしてる女とは訳が違う。
距離感がバグってる。
「っ、え?」
案の定困っている様子のハナトリ。
オロオロしている表情に思わず笑みがこぼれた。
慌てて口元を覆うように手で抑える。
「じゃ、今日は解散」
その言葉を待ってました!
さっと立ち上がり、走って自室に戻った。