君に甘やかされて溺れたい。



 初めてのキスは甘くて優しくてとろけちゃいそう。

 想像するよりもっとずっとドキドキした。

 すごく幸せ。


「藍良くん、大好き」

「紅ちゃん……そんなにかわいすぎると離したくなくなっちゃうよ」


 藍良くんはぎゅうっと私を抱きしめる。


「かわいい、かわいすぎる。もうずーっとこうしてたい」

「あ、藍良くん」

「紅ちゃん、ずっと一緒にいようよ。もう離さないから」

「う、うん」

「これからいっぱいデートしようね。大人になったら一緒に住みたい。毎日ハグしてキスしたい」

「っ!?」


 な、なんか藍良くん、すごいこと言ってる!?


「キスしたら……もっとしたくなっちゃった」


 もしかして、藍良くんの甘々スイッチを押しちゃった?


「紅ちゃん、大好きだよ。
もっと僕に甘やかされて僕に溺れて」

「っ、藍良くん……」


 二度目のキスはもっと甘くてとろけそうだった。

 こんなに甘い恋は少女漫画の世界だけだと思ってたのに。
 私の王子様はアイルくんだけだと思ってたのに。

 こんなにかわいくてカッコよくて、積極的で極上に甘い王子様と出会えるなんて、思ってもみなかった。

 きっと私はこの先も、藍良くんだけに溺れていく――。



fin.