……やっぱりダメなのかな。

 向き合うって、難しい。


「好きな子には優しくしないとダメだよ」


 あ、藍良くん?
 急に何を言い出すの?


「君だって本当は傷つけたいわけじゃないんでしょう?」

「うるせえな!誰だよお前!」

「紅ちゃんを守る盾」

「はああ?」

「安心して。君が紅ちゃんに素直になれない分まで僕が甘やかせてあげるから」


 藍良くんの言葉は甘い。

 スイーツみたいにふわふわしてとろけそうになって、私の心を優しく包み込む。


「行こう、紅ちゃん」


 藍良くんは私の手を引いた。
 いいのかな?と思いつつ、その場から離れようとするよ。


「ま、待てよ!!」


 猿渡くんが後ろから叫んだ。


「別に嫌いじゃねぇよ、バーーカ!!」


 それは多分、猿渡くんの本心だったと思う。
 私が知りたかった本当の気持ち。

 言葉は乱暴でも知れてよかった。


「ありがとう……!」


 最後にちゃんと向き合ってくれて、嬉しかった――。