私たちが歩き出した時─。



「うっ…」



隣りにいる優依が小さく声を上げた。



「優依?」



優依の方を見ると、目を大きく見開いていた。


一瞬、何が起こったのかわからなかった。


私が顔だけ、後ろに向けると、
優依の後ろに、卓也が立っていた。
不敵な笑みを浮かべて…。



「兄貴、わりーな。俺、刺す勇気あったわ」



えっ?


卓也の言葉に、卓也の手元に目を落とすと─。


卓也の手が真っ赤に染まってる。
優依の脇腹にナイフが刺さっていた。


優依は、私の方に倒れ込んできた。



「優依!!!」



私は、優依の名前を大声で叫んだ。


私と優依は床に崩れ落ちてしまった。



「…や…いや…いやーーーーー!!!」



私は、優依を抱えたまま大声で叫んでいた。