「なぁ卓也。お前、高校卒業してるよなぁ?」
あっ!
優依の言ったことに、私は手で口を押さえた。
そうか…。
私、今日、高校卒業したんだった…。
「それがどうしたんだ」
卓也が優依に聞く。
「お前、まだわかんねぇのか?」
「何がだよ」
「教えてやろうか…」
優依は静かに言った。
「今日は高校の卒業式だ」
優依の言葉に、卓也は目を見開いた。
「やっとわかったのか?」
「………」
「海璃は高校卒業したんだ。
だから俺たちはもう堂々と付き合えるんだよ」
優依は笑いながら言う。
卓也は唇を噛み締め、ギュッと握り締めた手が震えていた。



