「せっかくチャンスをやったのになぁ」



卓也が笑いながら言った。



「チャンス?」


「そう。俺が学校に密告しなかったこと。俺が兄貴に与えたチャンスだったんだよ」


「それはありがとう。感謝してるよ」



優依は笑いながら言ってるけど…声は冷めてる…。



「でも、兄貴はまだ海璃と別れてない。だから学校に密告させてもらうよ」



卓也の言ったことに、優依は笑い出した。



「何がおかしいんだよ」



卓也が優依を睨み付ける。


そうよ!
卓也の言うように、こんな時に何で笑うのよ!
今度こそ学校に密告されたら…。