「藤本さん…」


「はい」



優依が頭を上げて、美咲さんを見た。



「海璃が10歳の時に主人と離婚して、それから私は今の仕事を始めたんです。
だから海璃には寂しい思いも恥かしい思いもさせてきました。だから…海璃のこと幸せにしてやって下さい。海璃のこと守ってやって下さい。」



「はい。必ず幸せにします!お約束します」



美咲さんの目に光るものが見える。
美咲さん…泣いてるの?
美咲さんが泣いてるのって…初めて見たかも。


私も目に涙が溜まって、それが流れ落ちた。



「美咲…さん…。ううん…ママ…ありがと…」



美咲さんのことを久しぶりにママって呼んだ。