優依を見ると緊張してるのがわかった。
小さく深呼吸をすると、
「まず…お母様に謝らないといけないことがあります」
「謝らないといけないことって…何かしら?」
「今日の卒業式でわかったと思いますが、僕は海璃さんの通ってた高校の教師をしてます。教師という立場でありながら、言い方が悪いですが…大切な娘さんに手を出してすいませんでした」
優依が頭を下げた。
「藤本さん。頭を上げて下さい」
美咲さんの言葉に頭を上げる優依。
「藤本さん?どうして謝るんですか?」
「えっ?」
「たまたま好きになったのが、あなたのお勤めになってる高校の生徒だけだったって話でしょ?人を好きになるのに、教師だからとか生徒だからとか立場は関係ないと思いますよ」
美咲さんが笑顔で言った。
優依が謝ったことは想定外だった。
でもキチッと言ってくれたことが嬉しかった。
優依も安心した顔してる。
だけどまた真面目な顔になった。