「なぁ…お前ってさぁ。進路はどうなってんの?」
優依の顔を見る。
「何も決まってないけど…」
「じゃーさぁ…俺んとこに永久就職しねぇ?」
と、耳元で囁いた。
「…う…ん…」
涙が乾いた目から、また涙が溢れて、頬を伝って流れ落ちた。
優依は私を離すと、スーツの内ポケットから封筒を出して来た。
「もうひとつの卒業祝い」
「えっ…」
「いいから開けてみ」
「…う…うん…」
私は封筒を受け取り、中から1枚の紙を取り出して紙を開いた。
「これ…」
優依の顔を見る。
優依は笑顔で私を見てる。
優依からのもうひとつの卒業祝い。
それは…。
優依の署名捺印入りの婚姻届だった─。



