しばらくの間、純ちゃんは腑に落ちない顔をしていた。 でも、諦めた様にやんわり微笑むと、私をそっと抱きしめた。 「――純…ちゃん?」 体温とか、心臓の音とか伝わってきて、余計にドキドキしてしまう。 「ごめんな明日香。俺、気が利かないから沢山嫌な思いさせて。」 「え?何言ってるの?いつも鈍臭い私の面倒みてくれてるよ?同級生とは思えないくらいしっかりしてるし。」 なんて反論していたら、 「違う。――彼氏として。」 純ちゃんは、聞こえるか聞こえないか位のとても小さな声で付け足した。