本社の同期入社は合計六名。
けれど、入社三年目で一人、去年更に一人寿退社した。
だから、残っている同期は原と篠田、楢崎と私の四人だ。

原は営業部に所属していて、主に製品のセールスを担当している。
篠田は顧客管理部に所属していて、お客様からの苦情や問い合わせに対応している。

「聞いて~!先週受けた問い合わせ、同じ人がまた今日も同じ事でかけて来たの。あれ絶対悪質行為だよ」
「どんな内容?自動録音になってんだろ?」
「う~ん、一応なってる」
「じゃあ、上にちゃんと報告して、後は指示を仰げばいいだろ」
「そーやって、楢崎はいっつも事務的なんだから!受け手側の心境ってのが分かんないの?」
「はぁ?実務的なアドバイスしてやったんだろ」
「そーいうのは期待してない」
「お前、うぜぇ。純也、飲ませ過ぎなんじゃねーの?」
「俺のせいにすんなよ」
「まぁまぁまぁ、そのくらいにして。瞳の愚痴は、私が聞くから」
「つ~ぐ~み~~っ!このたわわなお胸は私のものだよ~」
「あーはいはい、分かった分かった」

瞳がぎゅっと抱きついて来た。
あまりお酒が強くない瞳は、既に出来上がりつつある。
嫌なことが重なってなのか、少し悪酔いしているようだ。

「彼氏と別れたの?」
「……あんな男、こっちが願い下げだっつーの!」
「結婚する気はないってはっきり言われたらしい」
「…なるほどね」

それで、やけ酒か。
男になんて、期待する方が間違ってるのに。
瞳は結婚願望が強い。
性格はサバサバしてて、束縛も殆どしないから付き合いやすいはずなんだけど。
彼氏はできても、結婚を意識してくれる人にはなかなか巡り会えないらしい。

結婚が全てではないと思うけど。