『結婚』って、色んな形があるんだな。
好きな人とずっと一緒にいたいっていうだけじゃないんだ。

でも、それなら…。
瞳のことを好きになってくれるとは限らないってこと?

「その人のこと、好きなの?」
「う~ん、いいなぁとは思うけど。実際、頼りがいがあると思うけど、紙一重というか。ときめきみたいな心が疼くのとは違うかも」
「それで、瞳は平気なの?」
「平気かどうか、会って確かめようかと思ってる」
「……そっか」

まだ付き合ってもいないんだもんね。
先のことなんて分からないよね。

私と峻だってそうだった。
この同期会で、原と瞳が言った言葉がきっかけだもん。
……え?

「だったら、原と付き合ってみたら?」
「え~っ、何で~?」
「愚痴だって言い合えるし、食の好みも似てるし、仕事に関しての理解力もあるし」
「でも、原は結婚願望ないじゃん」
「俺がいつ『結婚願望がない』って言ったんだよ」
「えっ?!……ないんじゃないの?」
「ないことねーよ。そう思える人に会ってないだけで。いつかは結婚したいと思ってるし」
「……知らなかった」
「俺らが似たもん同士とか二人は言ってたけど、俺から見たら、お前らの方がよっぽど似たもん同士だっての」
「そうか?」
「ん。俺は意外とお前らしっくりくると思うけどな」
「しっくりね~」
「原、経験豊富そうだから、Hは上手そうだよね~?」
「おいっ、変な目で見んなよっ!」

瞳の目が細まり、純也を値踏みし始めた。

「うちらみたいに、試しに付き合ってみたらいいじゃない。お互いに知らないことだってあると思うし」
「そうそう。それで合わなかったら、同期のまんまでいいんじゃね?」
「ん~……じゃあ、お試しに三か月付き合ってみるか?」
「三か月?」
「俺、一番長く付き合って三か月だから」
「短っ」
「悪ぃかよっ!……で、どうなんだよ、お前は」
「……べ、別にいいよ、お試しなら」
「よし、決まりだ!俺らこれで帰るから、後は二人でじっくり話し合え」
「おいっ、峻っっ」