8時に清を食べた化け物はグラウンドの中央に戻って静かになった。
けれどどこかに移動する気配は少しもない。
「ここに食べ物があるってわかったのかな」
窓の外を見つめて理沙が呟く。

「だとしたら化け物はもうここから動かないね」
答えたのは妙子だ。
妙子はさっきから利秋をジッと見つめている。

「なんだよ?」
その視線に気が付き、椅子に座っていた利秋が顔を上げた。
ここに閉じ込められてからもう3人の人間が死んでしまった。

みんなの顔には疲労が現れている。
「化け物がここにいついたのはあんたのせいじゃないの?」
妙子の言葉に利秋が目を見開いた。

「はぁ? なに言ってんだよ。なんで俺のせいなんだよ!」
突如かけられた疑いに利秋は椅子をなぎ倒して立ち上がる。
椅子が倒れる大きな音が教室中に響いて、緊張が走る。