「い、いやだ……僕はまだ死にたくない!」
顔を歪ませて涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながらも清はまだ抵抗していた。
無理やりベランダへ出されて鍵をかけられたのは、ついさっきのことだった。

「もう諦めろよ」
利秋が小さく舌打ちをして呟く。
「なんでそんなこと言うんだよぉ! 自分が生贄になればいいだろぉ!?」

清には聞こえないように言ったつもりだったけれど、元々声量が大きいから聞こえてしまったみたいだ。
清はさっきから窓をガンガンたたき続けている。
下手をすれば化け物の食事良し先に窓が割られてしまうかもしれなかった。

「おとなしくしてろよ!」
「助けてくれよ! お願いだから! なんでも言うこときくからぁ!」
普段は利秋の怒鳴り声ひとつでおとなしくなる清だけれど、さすがに今回はそう簡単にはいかなかった。

必死の命乞いはまだまだ続く。