「あとから毛布を取りに行こう。教室で寝るにしても毛布くらいあったほうがいいから」
「そうだね。私も手伝う」
お腹が膨れて気持ちが落ち着いたおかげか、これから先のことを考えられるようになってきた。

池田が来てくれなければ、こんなに冷静な話だってできなかったはずだ。
だけどその平穏も長くは続かなかった。
先生が食べられてしまって40分ほど経過したとき、グラウンドの化け物がゆらりと立ち上がったのだ。

「おい、動き出すぞ!」
利秋が警告を送る。
美麗と昂輝はハッと息を飲み込んで窓の外へ視線をやった。

黒い化け物はゆらゆらと揺れながら立ち上がると、体育館の方へ歩いていく。
そして両手を天へむけて突き上げたかと思うと、体育館の壁にむけて振り下ろしたのだ。
ドンッ! とすさまじい破壊音が響き、床が揺れる。

「うわ、なんだよ!」
体のバランスを崩した利秋が机に手をついてどうにかこけずにすんだ。