生贄教室

「そうだね。だけど街からのアナウンスなんてあった?」
美麗が首をかしげて自分のスマホを確認する。
自然災害などで避難が必要なときにはスマホに通知が来るはずだ。
だけど今回通知は来なかったみたいだ。

「普段とは想定してないことだから、対応できなかったんじゃないか?」
そう言ったのは昂輝だった。
昂輝もスマホを確認しているけれど、避難指示などは来ていない。

「俺たちは避難しそびれたのか? どうすんだよ!」
利秋がイラついた様子で壁を蹴る。
「イラついたってしょうがないでしょ。あの化け物、本当に人を食べたのかな」

恵子が利秋を睨みつけてから、窓の外の化け物へ視線を戻した。
化け物はおとなしく座り込んでいて、とても人を襲ったようには見えなかった。
「今は腹がいっぱいで動かねぇだけだろ」

利秋が吐き捨てるように答える。
「このままなにもしないのであれば、私達だって外に出ることができる」
「だけど自衛隊は外に出ないようにって」

美麗が恵子の腕を掴んで引き寄せた。
あまり窓に近い場所にいると、こっちの方が怖くなる。