郁は1度うずくまったままその場から動かなかった。
誰がどう声をかけても反応をせず、ジッと床の木目を見つめている。

そっとしておいた方がいいのは理解しているのだけれど、化け物はきっとまた暴れだす。
その時のための話し合いは必要だった。
「ねぇ、郁。少し話をしない?」

美麗が腫れ物に触れるように恐る恐る声をかける。
けれどはやり郁は黙り込んだままだった。
涙も枯れ果てて、無表情の視線はどこも見ていない。

「化け物は今は静かだけど、2時になったらまた暴れだすかもしれない。だから、もう1度あみだくじをしておこうと思うの」
すでにその用紙は用意されていた。
今度も、理沙が作ってくれたものだ。