「今週の土日、この地域の夏祭りあるじゃん。あれ親父が実行委員会入ってるから、手伝えっていわれてさー、ちょーダルい」
 幸太郎のお父さんはこの地域の少年野球チームの監督をしているから、その縁から実行委員として地域の行事に参加している。もうわたしが知る限り大分前から。

「毎年大変だよねー、手伝い行ってあげればいいのに」
 幸太郎はお父さんについてよく夏祭りなんかの手伝いに行っていて、昔はわたしも幸太郎について遊びに行ったことがある。
 幸太郎のお父さんはこっそりラムネやヨーヨーをくれたり、櫓太鼓を特別に叩かせてくれたり、内緒のサービスをしてくれたから、とんでもなく楽しかった記憶がある。

「じゃーさ、ミサキも来る?」
「え、何で?」
「あーいうの、基本子どもとか父さん母さんの年代の人ばっかで俺ら位の年代いないじゃん。つまんねーんだもん」
「正直言っていい?」
「なんだよ」
「面倒くさい」
「ははっ。だよなー」
 ほんの一瞬だけだけど、幸太郎が寂しそうな顔をした気がした。

「じゃあ、椎名と遊びに来れば」
「うん、そうする」
 わたしがそう言うと、幸太郎は首を横に振る。
「い、いや!そーじゃねーの、なあミサ――――」
「あ、戸田さんだ」