魔法3日目(友引)

 わたしのクラスには、前期が始まってこのかたずっと空いている席がある。
 真ん中の列のど真ん中、誰に聞いても誰の席なのか分からない謎の席。
 
 つまり、わたしの隣の席なのだけれど、かく言うわたしも一体誰の席なのか知らないままだ。
 一度、担任の先生に誰の席なんですか、と聞いたところ、無言で顔を逸らされてしまった。
 それから、わたしにとってその席はより謎を深めることになった。

 まほりに言うと、その席はきっと『仲間さん』の席だよ、と言ってある昔話をしてくれた。
 病気のため、結局一度も学校へと来ることの出来ないまま亡くなってしまった生徒が、かつてこの学校にいた。

 その生徒を気の毒に思った担任の先生が、ちょうどみんなに囲まれる真ん中の列の真ん中の席に『仲間さん』の席として、その子の座席を移動させたのがことの始まりだという。

 『仲間さん』っていうのは本当にそういう名前っていうわけじゃなくて、みんなの仲間っていう意味なんだよ、とまほりは言う。
 そのときから、この学校の2年c組には『仲間さん』の席が用意されるようになった……。