制服に着替え終わり、部活は解散となった。
 わたしはいったんカバンを取りに教室へ戻り、それから待ち合わせ場所に向かうことにした。
 教室に戻ってカバンを手に取ったタイミングで、スカートのポケットが振動した。
 スマホを見ればまほりからの連絡だった。

『ごめん、ミサ。部活、ミーティング入っちゃった。多分遅くなるから、魔法の件はまた明日に。ごめんねー』
 そう言えば近々試合があるって言ってたっけ。
『オッケー。部活頑張って。また明日』
 そう返信した。

 まほりが居ないとなると、話し合いのしようがない。
 わたしと幸太郎じゃ、建設的な話し合いなんて出来そうにないし。
 そう思ったので、とりあえず幸太郎を探して今日はもう帰ることにした。

 玄関に行くために階段を降りている途中、
「ちょっと待ちたまえそこの君――いや、今日は先勝。日が悪いな……やめておこう」
 どこからともなくそんな声がして、振り返ると、サッと何者かが逃げていく気配がした。

 何だろう?
 と思ったけれど、正直、面倒なことはごめんなので、考えないことにした。

 玄関に着くと、ちょうどクラスの男子(多分)と話をしている穂波君と鉢合わせた。
 何だか今日は、穂波君に縁がある日だ。
「お疲れ、穂波君」
 わたしが声をかけると、一緒にいた男子はじゃあ俺もう行くから、と言ってそそくさと行ってしまう。
「お疲れさま、本田さん」
「今朝は大変だったね、猛ダッシュ」

「あんなに全力疾走したのは久しぶりだよ」
「わたしも。それにしても、さっき穂波君と一緒にいた男子、何であんな急いで出て行ったのかな?」
 わたしがそう言うと、穂波君は苦笑いする。
「用事があったみたいだよ」
「ふーん?」
 何か様子が変だ。