「あああああ!?」
 突然、わたしの顔を指差して、幸太郎が大きな声を上げた。

「え?」
「み、水玉……!」

「水玉?」
 何だろう?と顔に触れようと手を伸ばすと、腕の内側が見え、そこにぽつぽつぽつと黒いドットが表れはじめる。

「え、何!?」
 何となく嫌な予感と既視感が頭をかすめる。

 こういう、とっ拍子もないことが突然起こり、嫌な予感がするときはいつだって……。

 リノリウムの床から、ぬうっと大きな白い米粒のようなものが表れ出てくる。
 米粒には申しわけ程度の手足がついていて、ぷらぷらと揺れる。

 わたしは半ば腰を抜かしながら、それを見上げる。

「本田さん。どうやら、ちゃんと徴が出たようだね」

 つぶらな黒い瞳をしたそれは、わたしの顔を見て、そんなことを言う。