「何だったんだろう?」
 思わずそう呟くと、背中の辺りを何か棒状のようなもので軽く叩かれる。

「何だったんだろうは、こっちの台詞だぞ。本田、机の上に立ったままでたそがれるな」

 丸めた教科書を手に持ち、あきれ返った様子の先生と、わたしの奇行にすっかり顔を背けてしまったクラスメイト達がそこにいた。

「テストするからな、本田、座って教科書しまえー」
「は、はい」

 そんな感じで受けたテストは当然のように不合格。
 その後、幸太郎とまほりには、暑さで頭が変になったんじゃないのか、と無闇に心配されてしまった。

 暑い暑い叫んでいた上に、テストに不合格の幸太郎にだけは言われたくないが、変な行動に出てしまったのは事実なので、反論の言葉もなかった。

 今日のわたしは、確かに少し変だからだ。