ぼんやりと始まった一日は、なぜか妙に色々なことが気になる日になった。
 まず、朝ごはんを食べながら、窓の外の塀の向うに見える向かいの家の屋根を見ていると、何かが頭に引っかかった。

 ついでに壁のカレンダーが妙に気になって凝視してしまった。

 そうしていたら、ゆき姉ちゃんに、
「えー何ぃ?デートの約束でもできたぁ?」
 と茶化される。

 何がそんなに気になるのか分からないけれど、視線が自然とたどるのは今日の日付のところだ。
 8月×日――――赤口。

 赤口?何て読むんだろう、アカクチ?セキコウ?
 確かこれって六曜とかいう占いの一種だったと思うけれど……。
 何でこんなに気になるのだろう。

 しばし考えていたら、
「おはよ~!ミサキ起きてるー!?」
 と庭からやかましい声が聞こえてくる。

「ごはん食べてるわよぉ。コータローくんも何かつまんでいったら?」
 なんてお母さんが答えているのを耳にしながら、わたしはシンクに食器を放り込んで、洗い始めた。

「やったー。さっきランニングしてきたからもう腹減ってたんだー」
 補習だっていうのに、幸太郎は今日も元気だ。