昼休み。
 中庭の東屋にわたしとまほり、幸太郎の3人(2人と1匹?)が集まった。
 まほりは木造のテーブルの上におびただしい数の本をばさっと広げる。

『東洋魔術全集』という重々しい表紙のハードカバーから始まり、『恋するおまじない』というファンシーの絵柄のものまで、色々な本がある。
 すべてに共通するのは魔法、魔術関係ってことだ。

「まほりぃ……こんなたくさんの中からどうやって探すの?」
「昨日、ぱらぱらって見てみて目ぼしいとこに付箋貼っておいたんだ」
「そうなの?」
 試しに一番近くに置いてあった『誰にでも出来る魔術~初級篇~』を手にとってぱらぱらめくって付箋が付いているページを開く。

☆服従の魔術☆これで誰でも世界征服だにゃん。愚民よ、従うのにゃん。ファンシーな猫が頭の上の描かれているふきだしで、とんでこないことを言わされている。

 それにしても、まほり、何でこんなとこに付箋貼ってるんだろう。
 ……世界征服したいのかな?
 まあ、見なかったことにしよう。