「欠陥お土産さんって……どれだけ頭の中お土産のことでいっぱいなんだよ」

「父上は珍しいものが好きだからね。さっき、興味深い女の子二人手に入れたんだ。そばにいた男もおまけに放り込んでみたけど。一人は、俺のことをやたら興味深く聞いていてね。魔界のプリンスだと名乗ったらすごく喜んでくれたから、じゃあ連れて行ってあげようと思って捕獲した」

 魔界のプリンスと聞いて、喜ぶ女の子には心当たりがある。

「まさかそれって、猫みたいな目をした女の子とロングヘアーのちょっと大人っぽい女の子だったりして?」
「君はすごいね。俺の身の上だけじゃなく、お土産の中身まで当てるなんて。君は俺に興味があるみたいだし、やっぱり君も、魔界へ連れて行ってあげよう」

「い、いや、全力で遠慮するよ!」
「ん?椎名様、本田さんの声がしたような気がします」

「ミサ?ミサー聞こえるー?すごいよー!この中、四次元なんちゃらみたいー」
「暗い!怖い!出口はどこにあるのだ!?アメフラシ師匠!助けて下さい!」
 ああ、この声。松代君もいるみたいだ。

「俺らの知り合いが中にいるのは、間違いないみたいだな。それに多分、その他の人も中に放り込んだんだろ?」
「食堂のおばちゃんというものも魔界にはいないから中に入れたし、運動場なるものも見た事がなかったので入れたかな。あとは、毛だらけの生き物が地をはっていたので、数匹入れた」

「け、毛虫も……」
「どんな選別だよ……」
「と、とにかく、そのお土産ぶくろに放り込んだもの全部返してもらうから!」

 色々なものが放り込まれているのは分かったけれど、みすみすお土産にさせてしまう気はない。
「けちだなあ。少しくらい良いのに……」

 プリンスはそう言いながら、わたし達の前にかざしていた手を一度閉じ、それからぱっと勢いよく開いた。
 すると、紗のような淡い壁がわたし達とプリンスの間に現れる。
 壁は触れてみると、軽く弾かれる感覚があり、それ以上プリンスへ近づくことを阻んでいる。