「え?何、みんなして……」
『ミサキ、さすがにそれはねーよ……』
「空気ストッパーミサキ……」
 まほりに至っては、そんな変なあだなをつけてくる。

「な、何なの?わたし何か変なこと言った?」
「ごめんね、穂波君。ミサって興味のないものについて感度がものすごく低いから」
「し、椎名さん、それってフォロー?」
 穂波君、わたしの発言以上に傷ついている様子なんだけど……。

「まあ、しょうがないかな。俺きっと、存在感薄いんだよ」
 穂波君の非常に傷ついた様子を見て、ハッとした。
「……まさか、穂波君、同じバスケ部だったり……?」
「ははは……」
 穂波君は乾いた笑い声をあげてらっしゃる。
 ……当たりだ。

「う、嘘だよ嘘嘘嘘ー。同じ部活なのに知らないわけないよ。1年以上活動してて、全然覚えがないなんてそんなことあるわけないって……」
 取り繕うが既に遅し、
「本田さん、大丈夫だよ。本田さんの本音は良く分かったから……」
 穂波君は呆れた顔でこっちを見ている。

 ああ、やってしまった。
 いくら男子全般に興味ないとは言え、こういうのは良くない。一応自分の周辺くらいは認識しておかないといけないよね。
「まあ、今覚えてくれたなら、それで良いよ」
「ホント、ごめんね……」
『……』

「それより、さっきから少し気になっていたんだけど、その犬って本田さんの飼い犬?」
 わたしの足元へと穂波君の視線が降り注ぐ。
「うん、まあ……そう」
「そうなんだ。かわいいね。撫でてもいい?」

「う、うん」
 と言いつつ幸太郎をうかがうけれど、
『……』
 反応なし。