わたしは、後をついてきたすずめ姿の龍とともに、練習の合間を見て、部のメンバーに、「琥珀色の玉のかけらを見なかったか?」と聞いて回った。
 龍によれば、龍の玉は琥珀色の光を帯びたものだというからだ。

 けれど、成果はゼロ。
 あまつさえ、本田美咲探しの次に、玉のかけら探しということで、お前なんか変な事件に巻き込まれてないよな?と、部のメンバーに訝しがられてしまった。

 そんなわけで、少し落胆しながら、練習終わりのクールダウンをしていたら、
「あの、横堀先輩。ちょっと良いですか?」
 後輩がいそいそと横へやって来てそう言った。

「ん?何だよ?」
「さっきは、何かなかったんすけど……。俺、先輩の言ってた玉、見たと思うんです」

「見たと思うって、随分と曖昧だな?」
「それが……俺が見たときは、三方向にそれぞれ光の玉が飛んでいくとこだったんです。だから、先輩の言ってた琥珀色の玉なのか、ちょっと自信がなくて。見たのは、昨日の昼休みだったと思うんすけど……」

「ちょっと待って。今三方向って言わなかった?」
「そうなんです。ピカーッと何か光ったな、と思って空を見たんです。そしたら、光の玉みたいなのが三つの方向に飛んでいって……」

「三方向って言うのは間違いないの?」
 思わず地が出ると、後輩の子は不思議そうな顔になる。

 魔力計測器で調べたら二つの反応があったし、龍も間違いないと言っていた。
 でも、そうするとこの子が言っていることが勘違いということになるけれど……。

 思わず、近くに木の上で話を聞いていた龍(すずめ)を見上げると、
『力の反応は二つで、間違いはないはずだ』
 そう返事が来る。